ポートレイトスタジオ【for a little beauty】のおはなし③

第3回

フィルムで撮る理由。

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望さん こういうお店を始めようって思えたのも多分ベルリンに住んでたからだろうなっていうのがかなりつよいですね。

- なんかこう京都だったらベルリンでやっていたような事ができる。みたいな空気を感じたということですか?

望さん そうですね。こういう事してもなんとかやっていけるんじゃないだろうかとか。とは感じていました。
私はふつうにこういう写真館をやるんだったら旅行者が喜んでくれるだろうなって。旅行者が多いのは京都。
だから東京でこういうのをやろう気にはならないだろうなっていう。そういうかんじですね。
やっぱり着物レンタルみたいなのをやろうと思ったのも京都だからだし。なんかこう写真に残すだけじゃなく体験として面白かったねみたいな。
そうやろうと思ったら、なんかこう東京でスタジオっぽいところ借りてっていうんじゃなくて、京都で京都らしいこと。
まぁでもやり始めたらまたその京都の本物の凄さをみちゃうと、なんかもう偽物だなって。笑 偽物感漂うならぜんぜん違う方向に行っちゃえとか。笑
そういうふうには変わってきたんですけど、やっぱり和洋折衷の雰囲気の中でっていうのを楽しんでもらいたいなって思う。だから私は最初は海外から来る人を念頭に考えています。

- 以前「きんせ旅館」で開催されたポートレート撮影のイベントもすごく良かったですもんね。すごく良かった。

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大樹さん それができるのが東京だとかなり限られているなって。東の方の浅草とかだとできるのかもしれないけど、それをやろうとおもうとお金もかなりかかってくる。
あと東京だとすごい色んな見るものやることがあるから埋もれちゃうなって思う。京都に来たらここにいたいなって思っても、やることが限られてくるじゃないですか。笑

- そうですね笑 オープンされる前には何回か京都に来られていたんですか?

大樹さん 一回来たかな。一時帰国していた時に二泊くらいで。まぁ京都にしよっかってそこで決めたんですよ。笑

- 早い。笑

大樹さん 京都だなって。笑 でまぁ本帰国してから部屋探しに来たりとか。

望さん まぁでも部屋探すのもベルリンから荷物もそんなにない状態なので実家にとりあえずふたりともバラバラに。笑 もうすぐ決めようねって。笑

大樹さん 長引かせたくないねって。笑

望さん このまま実家にいちゃ駄目だって。笑 それで一週間くらいで部屋を探すために京都に来て、三日間滞在してそれで決めて。

大樹さん 二日目でここを見つけて三日目はキャンセルした。笑

望さん もういいよここで!って笑 ここがいいよって。

大樹さん 思い切りが良いんですよ。そんなに悩まない。

望さん 悩まないね。

- 場所もすごく良いですよね。繁華街みたいな騒がしさがない落ち着いた場所で。

望さん そうですね。少しはずれた場所。

- でもはずれだけど個性的な良いお店が多いですよね。世界文庫さんやLIFETIME、美味しいパン屋さんやカフェなんかもある。

大樹さん そうなんですよ!説明もしやすくって金閣寺と大徳寺のちょうど真ん中くらい。いい場所で。家運が良いんです。笑

望さん これからは方向性というか、どこにどう発信していくのかっていうのをきちんと方向づけしたいなって思っていて。そこを急に決めちゃうのもちょっとあれなので、そこはゆっくり決めていきたいからスタートはゆるーく。笑

- のぞみさんは高校時代から今に至るまでずっとフィルムで撮っておられるんですか?

望さん いえ、そんなことはないんです。私はけっこう学生時代はフィルムでやってましたけど、
デジカメでずーっと海外にいたときは撮ってましたし、パリ時代も半々くらいでしたね。こう、好きでも在るんですよ。
動いているものなんかをを撮る時なんか、とくにダンスを撮るのがすごい好きなんです。
まぁそれはそれとして、なんかこう人の記念写真だったりポートレートを撮るって考えた時に、携帯でもすごい綺麗な写真が撮れる時代じゃないですが?
だから特別感でいったらフィルムに勝るものはないだろうって。ものとしてもすごい素敵だし。他人が手にするって思ったときにはフィルムかなって。

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- やっぱり特別な日にあのカメラで覗かれていると、心地よい緊張感みたいなのがありますね。

大樹さん そうなんですよね。やっぱり体験自体も大事だと思うんで物にはこだわりたいと思いました。

望さん 撮る方としても楽しいですよ。笑 私にとってはすごくシステムがとてもわかり易いから、デジタルカメラって自分で分かる範囲を超えちゃってるから、
それがちょっと不安に感じたりすることもあって。これだと一枚に自身がもてるような気がする。間違いないかなと思う

- 1枚を撮るのに時間がかかるんと思うんですけど、そのかかった時間もふくめて撮られていてすごく気持ち良い。良い緊張感です。撮ってる振る舞いもすごくかっこいいし。

望さん 一眼レフってまぁフィルムであれデジタルであれ結構不純な気持ちになる。笑 撮ってやる!みたいな、
なんかちょっと瞬間を盗むみたいな気持ちが生まれるんですよね。笑 なんだろ多分私だけだと思うんですけど。笑

- のぞみさんにとって静かに向き合えるカメラがアレってことなのかもしれないですね。誠実な感じがします。

望さん そうですか。笑

- 確かによくあるスタジオとかで一眼で撮ってもらう時って表情を和らげるようなやり取りがあって、ピピッとフォーカスが合う感じの音がした後にカシャって撮られる。
それに対してこのカメラだと撮影者が布をかぶったりしていて、今覗かれてるなーって感じがする。

望さん なんかこう動かないでくださいよっていう、動いちゃ駄目だっていう責任とかも取られる側にもあるから、それも含めて良いなって思うんです。
ただ撮られるだけじゃなくてお互いがちゃんとしないと。ある信頼感みたいなのが生まれるのが好きですね。

- それは良い関係ですね。

望さん 京都でブライダルとかの仕事もやったんですけど、こう「今求められている」って思われているものってお客さんに選択肢が多すぎる気がして、
「あの場所でこの角度で撮って、いっぱい撮った中から自分で選べますから」って言う人もいるんですよ。
でもそれって、もちろん満足感があると思うんですよ。でもそれってもう一つ楽しみが欠けているなと思うんですよ
私は自分の写真としては驚きみたいなのが「あ、これこんな風に写るんだ?!」みたいなのがあったほうが楽しいんじゃないかなぁ。
この場以外の仕事で思ったことや感じたことをまとめると、今のこのスタイルがいいかなぁと思うんです。

- 確かに「この中から選んでください」だともうすでにある予想できる中での楽しさみたいなのはあるんですけど、「予想外の驚きとか楽しさ」がほしいですよね。

望さん それがほしいなと思う。

- それがあると大分うれしいですよね。

望さん 写真やっている人はそれを普通に楽しんでいると思うんですよ。もちろんそういう人にも楽しんでほしいんですけど、記念とかで撮りに来られた人に「あっ」って驚いてもらえたり、喜んでもらえたらいいなって思います。

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今回Photolabo hibiの2人はWollensakという会社の古いレンズを付けた大判カメラで4×5サイズのモノクロ写真を撮って頂きました。後日、仕上がった写真を見せて頂いたときには思わず声が漏れてしまいました。
そこには確かな「予想外の楽しさ」や「驚き」が詰まっていました。ここに載せている写真はスキャンしたものになりますが、実際に手にとった時の物として存在感のある写真は別格です。
お二人に撮って頂いた写真からはしっとりと美しく、やわらかな美しさが溢れ出ていました。望さん、大樹さん、とても素敵なお話をありがとうございました。

【for a little beauty】
京都市北区にある写真館。「いつまでもそばに置いておきたい一枚」 をコンセプトにアナログフィルムカメラで撮影致します。理想的な一枚をお客様と一緒にじっくり創り上げていくスタジオです。大切な人や家族との写真、また自分自身のとっておきの一枚にご利用ください。ご見学のみのお越しも歓迎しております。撮影・ご見学のご予約はお電話またはメールにて承ります。

住所:京都市北区紫野上若草町37
tel: 075-203-4555
mail: foralittlebeauty@gmail.com
web: http://foralittlebeauty.com/

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